LVGMノNEWイベント、Kabukicho PIER19。顛末記パート1
column 58
真夏の7月18日。大久保公園のアートコートで開催したキッズクリニック、LVGMと、東急歌舞伎町タワー前でのLVGMの新コンテンツ、Kabukicho PIER19。歌舞伎町内2ポットでバスケにまみれた日を振り返る。その1回目のコラム。
photography_Minami Okada, Kosuke Waguri, Takeshi Abe
Article_go parkey
We are playground basketball residents like pikeys!!!
四方をビルに囲まれた歌舞伎町タワー前広場。一方からは巨大なゴジラの顔が我々を見下ろしている。その鋭い目は、力強さの象徴、金剛力士像みたいに隙がない。夏至を超えて梅雨前線も霧散させた大都会は、煌々とゆれる街灯や妖しいビルボードのネオンの力を得て、なかなか夜がやってくる気配がない。暗闇とは無縁の世界。ねっとりとまとわりついてくる真夏の夜気の間隙をぬう微風が心地いい。MCの声は途切れることなく広場に響いていた。最初は、バスケなんて珍しいものではないと言わんばかりに、立ち止まって見る人も少なかった。しかし、ようやく歌舞伎町にも夜がやってきたと思ったら、飲み会に急ぐ若者も、爆買い帰りのインバウンドかなと思われる外国の方も、ヒップホップDJを25年やってきた、俺にもプレイさせてくれ、なんていうフレンドリーな異邦人も、食事に向かう男たちも、食事帰りの家族も、さまざまな人種の人々が足を止め、振り返り、タブレットのピントを合わせていた。あっという間に、一夜限りのプレイグラウンドKabukicho PIER19を、多くの人が夢中になって観戦していた。立ち止まって、そのままロックオン、夢中になってしまった人々は、このゲームのレギュレーションからプレーヤーの名前もチームのスタイルやカテゴリーもいっさいわからない。だけど、止まることを知らないプレーを見ていれば、それで十分。思い思いにリアクションして、陶酔することができる。情報過多の時代に、このようなライブを目の前で見て反応することがシンプルに突き刺さる。果たして、「さっきのは一体何だったのか?」。そんな気持ちでいいのかもしれない。思い出したときに、歌舞伎町とか歌舞伎町バスケとか、KabukichoとかPIER19なんて検索したら、その熱狂と陶酔という楽しい情景がなんだったのかが、わかる。わかったときに、また次の出会い、ムーブメントを期待してくれる人がいるだろう。そういう記憶がいつかは記録になる。記録は、後々にカルチャーと呼ばれるようになる。良いものは時間がかかるのだ。だけども、決して揺るがないストーリーとして残るのだ。
go parkeyのLVGMがある日は、朝8時の天候状況確認から始まる。7月18日、空を仰ぐ。もちろんゴーだ。go parkeyビジョンでの歌舞伎町の長い1日は大久保公園からはじまった。以前から、アートコートと公園バスケについて深い造詣を持ってくれているBリーガー、マイケル・パーカーが、コーチとしてLVGM(キッズクリニック)に登場。定員60名を超えるキッズが集まってくれた中、全員にスポルディング・ジャパンから7号ボールをプレゼント。各自が好きな色を選んでいく。go parkeyからはこのイベント仕様のTシャツを全員にプレゼント。さらにマイケルからは、クリニックの合間にマイケル・クイズが出題されて、アンサーしたキッズにマイケルのオリジナルブランドMP3のヘアバンドがプレゼントされた。2メートルというサイズと輝かしい実績のあるマイケルは、ほおっておいてもオーラがある。それをクイズで和ませる心遣いがニクイ。マイケルのクリニックのテーマは、ズバリ、公園バスケにおけるチームワーク。その日に会ったばかりのプレーヤーたちが、即興でコミュニケートし、意志の疎通をはかり、表現しあう。これはプレイタイムやシステムが担保されたクラブでのバスケとは違って、個々の自主性とモラルに委ねられた公園バスケでプレイするためには必要なスキル。そのコツやキッカケを見つけ出すためのコンテンツをマイケルが直伝してくれた。高校生の参加者には少しアットホームなコンテンツだったかもしれないが、それでもマイケルの目の前でダンクをしたり、得意のハンドルからシュートをしたりして、現役プロにアピールする醍醐味を自ら仕掛けていったのを見て、こちらは頼もしく思ったりもした。この日をゲームチェンジャーにして、みんなは公園バスケをさらにポジティブに楽しんでいけるようになるに違いない。
大久保公園でプレゼントした特製ホワイトPIER19 Tシャツを着たキッズの姿も見かけた、歌舞伎町タワー前広場。クリニック後、真夏の黄昏時には広場を微風が抜けていく。蒸した夏には奇跡のような涼しげな空気感。その中で、繰り広げられたPIER19、スペシャルマッチ。ラフでラギドなプレイグラウンド。バスケのための場所ではない。それは何度も言ってきた。それでも魅せることを、マッチすることをチョイスしたチーム。ここで書いておかなければいけないことは、当初は5チームでの総当たり戦だったけれど、イベント開始後、オーストラリアのチームKOTC(キング・オブ・ザ・コート)が欠場し、4チームでの開催になる。理由はKOTCに負傷者が出てしまい、ロースターが2人になってしまったからだが、これはPIER19でのケガではない。これによって、参加チームとオーディエンスの皆さんには、事前にアナウンスしていたゲーム進行に大幅なズレが出てしまったことをお詫びしなければならない。すいませんでした。とくにSAITAMA HEARTS.EXEは、普段は3x3リーグでの円滑なマッチメイクでゲームに集中してきたはずで、そこでのストレスは察してあまりある。それでも、最後までこのゲーム、このプレイグラウンドに適応しようとキープオンしてくれたことにラブ(リスペクト)を感じたし、ゲームを重ねるたびに本来の3x3的スタイルと個々の強さをブレンドしたスタイルをビルドアップして、存在感を示してくれた。
ストリートボールのリーグとして国内屈指の歴史とバリューを誇るSOMECITYの両雄、44streetとPISTOL BROTHERS。その前に、このPIER19ならではのジョイントチーム、ラブゲーマーズについても書いておこう。このチームのコアは、go parkeyの数々の(アートコート有効活用)LVGMにおいて、ときにアシスタントコーチとして、ときには会場運営や設営などのスタッフとして、頑張ってくれているメンバーたち。クリニックに参加してくれたキッズも、「見たことある」「こないだサインをもらった!」「いつもイベントで受付にいる」「あのコートのペイントを一緒にした!」という反応をしてる子もいたに違いない。go parkeyとしては、アートコートと公園バスケにおける様々な可能性をキッズに伝えたい。オリンピックやプロリーグを目指したり、ストリートリーグの最高峰の熱量、NYCのダイクマンやラッカーパークを夢見たり、パブリックアートを創生するアーティストを志したり、DJやセレクターに興味を持ったり、いろいろなイメージがある。そういう中で、LVGMに関わりながら、今回のようなアーバン・プレイグラウンドでのゲームで、名うてのチームとマッチアップして、上手い下手を超越したラブゲーマーとして楽しむことだってできること、そこにリミットはないことに気づいてもらえたら、嬉しい。たとえプロになれなくても、それは挫折ではなく、ゴールは1つじゃなくて、いろいろなラブがあって、バスケはいつだって楽しいことをDNAに沁み込ませてくれたらいいなと思っている。そういう意味でも、ひたすらズラしたらシュートを打ち続けたUGや、サイズに関係なくリバウンドとルーズにハッスルしたNOBUCHIKAたちの姿は印象的だった。自分たちが今、何を表現できるかを最短距離で見せてくれたラブゲーマーズのグッドテイク!
ファイナルは、1チーム欠けた総当たり戦での全勝同士、44streetとPISTOL BROTHERSの対決。どちらかがメイクすれば、今度は相手がアンサーする。3on3でありながら、1on1の応酬というハイライトのシークエンスは、ネオンの中を歩く人々の足も止めた。気づけば、バスケ・ラブな人だけでなく、このPIER19のインフォを知っている人だけでなく、歌舞伎町にひしめく多種多様な人々を引きこんで、ラフでラギドな会場が盛り上がっていた。カオスな目線が集まり、一筋縄ではないレギュレーションと環境では、コールを当てにしたプレーでは到底フープまで辿り着けない。どんなでも打ちきるマインドとタフさに勝る者が、ネットを揺らすことができる。44streetとPISTOL BROTHERSがおたがいのファンキーさを引き出し合うかたちで、両チームのギアが変わっていく。ディフェンスの刺激を正面から受け止めて、打破していくプレーは、バスケを知らない人の体温も1℃上げてしまう。「なぜ、そこに突っ込んでいけるのか」「どうやってメイクしたのか」。見てれば自然に腰が浮き、拳が突き上げられる、そんな時間だった。最後、勝ちきったのは(攻きったのは)、44street。MVPは、PISTOL BROTHERSのBUZZと攻めても守っても、ガシガシやりあって、その度にタフショットを決め続けた武蔵。DJのカイトとキクジロウのヤングガンなスケーターたちと歳もサイズも近いフレッシュな彼が、THE LVGM(今日の歌舞伎町のオンリーワン、自家発電で個人事業主なボーラーズのチャンピオン)を戴冠した。
ということで、44streetが歌舞伎町のPIER19の初代チャンピオン、武蔵がTHE LVGMとなって幕を閉じた今回。最後は、特別協力してくれた日体大LIONSやスタッフ、それに全チームがハドルを組んでセレブレーション。go parkeyにとって、実は初となる「自らがリノベーションしたアートコートではない場所」での、それもゼロからつくったプレイグラウンドでのイベントはこれにてクローズ。ゲーム進行の不具合もあり、いろいろなところに負荷をかけてしまったと思う。ストレスを与えてしまったところもあると思う。さらには、ラフでラギドな路面状況でのファウルコールのクオリティの見極めにもギャップがあったと思う。こういう環境に慣れているチーム、そうではないチームがある中で、最大公約数をどこにするか。ここの見極めは非常に重要なことである。プレーヤーのギャップ分、その矛先が冷静に頑張ってくれていたレフリーへと向いてしまったことは、我々の責任だ。途中で、話しあって、ラフでラギドで歌舞伎町ならではの路面の場合のファウルコールの設定を修正することができたのは、レフリーたちと各チームのアジャスト力のおかげであった。だから、今後(アートコートプロジェクトでも何でもこれまでだって自省とアップデートはしているけど)、またgo parkey内で反省やアップデートをしていくことは大切だと再認識。そんなイベントでもあった。
